兵庫県・加古川市役所に聞く:Canva導入支援・研修プログラムから見えた、自治体での「内製化」の可能性

兵庫県・加古川市役所様

利用目的:
自治体における“デザイン活用”の第一歩。

課題

  • 各課で外注またはWord・PowerPointで職員が個別に作成しており、クオリティの差が大きい
  • 外注物は大規模イベント向けで問題はないが、職員が作成したチラシは文字ばかりになり、手作り感が強く伝わりにくい
  • 個人の裁量や力量に左右されるため、全体として市民に伝わりにくいチラシが多い

導入(研修)検討理由

  • 「文字ばかりで伝わらない」という課題を改善したい
  • Canvaはテンプレートを活用できるため、素人でも見栄えの良いチラシを作れる
  • WordやPowerPointに加えて「Canvaもある」と庁内に知ってもらい、まずは認知を広げたいと思った
  • Instagram運用などで実際にCanvaを使った成果があり、見やすさや反応の良さを実感したことも背景

活用方法

  • チラシ・ポスター制作におけるデザイン性向上
  • SNSや庁内イベント広報のビジュアル作成
  • ホームページのバナーなど、文字中心の情報を視覚的に整理する場面
  • 研修やプレゼン発表の場で、同時編集機能を活かした資料作成
  • 日常業務での資料や告知物のデザイン効率化

今後期待する効果

  • チラシやポスターの「質の向上」による市民の関心喚起
  • 作成時間の短縮による業務効率化
  • 文字量を減らし、デザイン性を高める工夫の浸透
  • 有料版導入を検討する場合は、費用対効果やセキュリティ・著作権リスクへの備えを整備
  • 職員のスキル差を補完し、誰でも一定のクオリティを担保できる環境を整える

兵庫県加古川市様では現在、Canva活用の可能性を前向きに模索されており、その取り組みの一環として庁内での理解促進や試験的な活用を目的に、mikimiki webスクールによる初回のCanva導入支援・研修プログラムを実施いただきました。 今回はその背景や、受講された職員の皆様の声、そして今後に向けた展望についてお話を伺いました。

目次

“伝わりにくいチラシ”を変えたかった。外注と手作りのあいだにある選択肢。庁内で活かせる選択肢としてCanva導入研修を実施

ーこれまでチラシはCanva以外のツールで作成、または外注されていたと思いますが、その際の課題やお困りごとがあれば教えてください

市役所内にはさまざまな課があり、それぞれで外注している場合もあれば、職員がWordやPowerPointなどで作っている場合もあります。

外注の場合はある程度クオリティが求められる大きなイベント向けのものが多く、今まで通りで問題ないと考えています。

一方で、職員が個人で作っているチラシは、手作り感のある見た目になりやすく、どうしても職員個人の裁量や力量に左右される部分が大きくなってしまいます。 その結果、文字ばかりのチラシなど、伝わりづらいものも多く課題だと感じていました。

ーCanva導入支援・研修プログラムを検討しようと考えたきっかけや背景には、どのような理由があったのでしょうか

検討に至った背景としては、チラシのクオリティの差が大きく文字ばかりで伝わりにくいものが多かったためです。

Canvaであればテンプレートを活用して、素人でもある程度見栄えよく作れるのでチラシの質を向上させたいという思いがありました。

現時点では全庁的な内製化までは考えておらず、今はチラシ作成に使用しているWordやPowerPointに加えて、「Canvaという簡単に使えるツールもありますよ」ということを庁内で知ってもらう段階です。

ー職員の方の中でCanvaを使われている方はいらっしゃいますか

はい、個人的に使っている職員もいると思います。

当市では就学前のこどもの保護者向けにInstagramでイベント紹介を行っているのですが、そこでもCanvaを積極的に活用しています。

ある程度クオリティも保てていて、庁内でも「見やすいね」といった声がありましたし、フォロワーの反応も良い印象です。私自身も、それがCanvaを知るきっかけになりました。

Canvaを使って見やすいチラシをつくり、市民の方に興味を持っていただける機会を増やしたい

ーCanvaを活用することで、どのような効果を期待されていますか

一番期待しているのは、ポスターやチラシの「質の向上」です。

「これはWordで作ったな」と一目でわかるようなチラシもまだまだ多いため、見栄えを良くすることで市民の方に興味を持っていただける機会を増やしたいと考えています。

また、簡単に作れるという点で、作成にかかる時間を短縮し業務効率化にもつなげていけたらと思っています。

ー今後チラシ作成において、外注時より特に力を入れて改善したい点や工夫していきたい点はありますか

やはり「文字量を減らして、デザイン性を上げる」といった工夫をしていきたいです。

WordやPowerPointではゼロから作成しなければならず、写真のレイアウトなども難しい面がありますが、Canvaでテンプレートを使えば、それだけで見栄えが大きく変わります。

一方で、大規模イベントなどクオリティが必要な場面では、今後もデザイナーさんに外注していく方向で考えています。

便利だからこそ気をつけたい。Canva導入における“著作権・セキュリティ”への不安と運用への備え

ー今後内製化を進める場合、不安に感じている点や懸念はありますか

インターネットを利用するという特性上、セキュリティ面の不安の声は出てくるかもしれません。

ただ、用途としてはイベントのチラシが中心なので、個人情報を扱うようなものではありません。

以前、Canvaを無料で使えるというお話もありましたが、自治体でその範囲内であれば特に問題はないかと思っています。

一方で、有料版を導入するとなると別の検討が必要になると感じています。

ー内製化を本格的に進めるにあたり、担当者の退職や異動などに備えてノウハウをどのように引き継いでいくと良いとお考えですか

1つマニュアルのようなものがあるとありがたいですが、正直なところいくら便利なCanvaを使っても、「得意不得意の差ははっきり出てしまう」といった部分もあると感じています。

そこまで「ノウハウの継承」というほどではなくても、普段からパソコンなどの操作に慣れている方であればすぐに使いこなせるだろうという感覚です。

ー実際にCanvaを導入しようとするなかで、組織内で反対の声や懸念点などが上がりそうでしょうか?

それはどのような声だと想定されますか 
無料の範囲であれば、個人の裁量内で使用できるため特に反対意見は出ないと思いますので、現状では問題ないと考えています。

ただし、有料版を導入するとなると「その費用に見合う効果が出るのか」「導入によって庁内全体のチラシの質が向上するのか」といった点については、議論になる可能性があります。

ーどのくらいのコストパフォーマンスが見込めるかについて、市の中で見積もっているものはありますか

まず、導入にあたってどの程度の費用がかかるのかという点が検討事項になります。 その上で、さまざまな予算の優先順位がある中で「この費用をかける価値があるかどうか」という判断は、最終的には財政部門での検討になるかと思います。

ーCanvaを導入するにあたり、セキュリティ面での心配はありますか?

大きく分けて2点の懸念があります。

1つ目は不安に感じている点でお話しした、インターネットを使用するという特性上、一定のセキュリティリスクが避けられないという点です。

2つ目は、今後の運用体制に関する部分です。

現時点では私の所属課内での利用を想定しているため特に問題はありませんが、今後複数の所属がそれぞれ異なるアカウントで制作物を作成するようになると、課ごとにセキュリティ意識の差が出てくるのではないかと懸念しています。

特に、使用するイラストや素材ひとつひとつについても、著作権に関する知識や配慮が求められる場面が増えてくると思います。

その際、全ての職員が著作権フリーの素材を適切に使えるとは限らず、著作権への意識や判断の差を統一することが難しい点が最も心配していることです。

ー著作権への配慮の度合いに個人差があることが懸念されている、ということでしょうか

そうですね。基本的にはすべての職員が適切な素材を使ってくれれば問題ありませんが、中には「これくらいなら大丈夫だろう」と軽く考えてしまう人もいるかもしれません。

また、気づかずそのような結果になってしまう場合もあります。 そのような少しの油断が、思わぬ著作権違反につながる可能性もあるため、リスクとして意識しています。

Canvaはただのデザインツールじゃない?自治体業務での意外な活用法と、発表で光った実践例

ー市役所業務のなかで、具体的にどのようなタイミングでCanvaを活用していきたいですか

課によって異なりますが、たとえば市のホームページは文字情報が多い傾向にあるため、視覚的にわかりやすいバナーなどを作ってもらえるとありがたいです。

SNSやチラシなど、お知らせの手段は多くありますが、「見た目のわかりやすさを向上させるツール」としてCanvaは有効だと感じています。

ー自治体として、今後Canvaをさらに活用できるシーンはありそうでしょうか?

別の事例にはなりますが、以前参加した研修において各班に分かれてプレゼンテーションを行い、最後に発表するというプログラムがありました。

その際、たまたま班のメンバーにCanvaを使える人が多くいたため、1つのアカウントを全員で共有し、複数の端末から1つのプレゼン資料を同時に編集しながら完成させて発表を行いました。

PowerPointではこのような同時編集が難しく、またデザイン性の面でも差が出てしまうのですが、Canvaを使ったことでスムーズに作業が進み、プレゼンの見栄えも非常に良いものになりました。

実際、その研修の中でもかなり目立つ発表となり、非常に効果的な活用だったと実感しています。

このように、研修など限定的なシーンにはなりますが、Canvaの同時編集機能やテンプレートによるデザイン性の高さは今後も十分活用できると感じています。

また、資料作成においても、日常的に作成されているようなものであれば、Canvaの同時編集機能などは特に有効だと思います。

今後の業務全体の業務改善という観点でも使い方次第でCanvaは有効なツールになり得ると考えています。

はじめの一歩をサポート。登録から丁寧に学べる、自治体でも進めやすいCanva導入・研修プロジェクト

ー先日のCanva研修を受けられて、職員のみなさまの反応や印象はいかがでしたか

研修後に実施したアンケートでは、「理解できた」「今後の業務に活かせそう」といった意見が多く、反応は良かったと感じています。

今後の参考にもなる内容でした。

ーこれからmikimiki Webスクールの研修を受講したいと考えている自治体に向けて、どのような点が役立つと感じられたか、また受講をおすすめできるポイントがあれば教えてください

Canvaという名前は聞いたことがあっても、実際に使ったことがないという職員が多くいました。

その中で「登録作業」が一番のハードルになっていたのですが、今回の研修ではそこを丁寧に教えていただき「こんなことができるとは思っていなかった」といった感想も多くありました。

実際に触れてみて「これなら使えそう」と思ってもらえた職員が多かったと思います。

今回はチラシ作成が中心の研修でしたが、「こういった制作物が作れるんだ」と知ってもらえる良い機会になったと思っています。

mikimikiからのメッセージ

このたびの加古川市役所でのセミナーも多くの学びと成果につながりました。
ご依頼いただきました皆さま、本当にありがとうございました。 自治体業務にCanvaを導入するメリットはさまざまです。 例えば、誰でも簡単にデザインできること、テンプレートを活用することで短時間で高品質なデザインが完成すること、統一感のあるデザインを庁内で共有できること、そしてクラウド上での管理による部署間のスムーズな連携などが挙げられます。 こうした特徴は日々多忙な自治体職員の業務を大きくサポートします。 現在も全国の自治体でCanva導入の動きは広がっています。
庁内にデザインツールを導入したい、効率的に広報物を作成したいといったご要望がありましたら、お気軽にご相談ください。